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Ⅳ 後遺障害等級認定―細目―2高次脳機能障害


1 高次脳機能障害について

(1)脳の高次脳機能-まずもって、そもそも論

(2)高次脳機能障害(症状、内容)

(3)理解の注意点


2 脳の器質的損傷に基づく高次脳機能障害か否かの判断基準について


(1)損保料率機構自賠責損害調査事務所の判断基準

ア 自賠責-高次脳機能障害専門部会での審査・認定システム

イ 高次脳機能障害に認定されうる後遺障害等級

ウ 経験的に感じる、実質的なはじめの振り分け

エ 等級認定表~抽象的な分類基準~よくわからないハズ~

 ⅰ 自賠法施行令上の認定基準

 ⅱ 認定基準の説明

オ 解説、認定基準をより具体的に検討していくと・・・

 ⅰ 具体的な認定基準

 ⅱ 認定されうる等級の分類

 ⅲ 補足(4つの能力について)

 ⅳ 補足(能力喪失の程度の6分類について)

カ どうすれば良いのか-認定のポイント

 ⅰ 労災保険における高次脳機能障害整理表

 ⅱ どの様にあてはめるのか-だいたいの考え方

キ あてはめ

 ⅰ 12級や14級という認定で終わるパターン

 ⅱ 3級~9級の認定の分かれ目

 ⅲ 介護を要する神経系統又は精神の障害の程度~1 級、2 級~


(2)その他の判断基準

ア 行政(厚生労働省)で用いられている判断基準

イ 行政(労災補償)で用いられている判断基準

■ 雑感

1 高次脳機能障害について

(1)脳の高次脳機能-まずもって、そもそも論-

 人間の脳は色んな機能をしていることは日々の生活で実感できると思います。脳の働きには、危険から身を守る、生命を維持する、子孫を殖やすといった動物にも備わっている機能の他に、1物事に注意を向けて、以前の記憶と照らし合わせて認識したり(認知機能といいます)、2新たな記憶・学習をしたり(記憶機能といいます)、また、3これらの認識に基づいて判断を下し、どう行動したらよいかを計画し行動する(行為・遂行機能といいます)高度な脳の働きが備わっています。高次脳機能とは、脳が外部から情報を受けてから行動に移すまでの脳の全ての過程を言うと説明する書籍もあります。

(2)高次脳機能障害とは

ア どの様な症状を発症するのか

 高次脳機能障害とは、病気(脳血管障害、脳症、脳炎 等)や事故(脳外傷)によって脳が損傷され、脳の高次脳機能に障害を生じたものであり、(1)知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知過程と(2)行為の感情(情動)を含めた (3)精神(心理)機能を総称する認知機能に障害が起きた状態を言うとされます。

 高次脳機能障害による症状は、主として、①認知障害と②人格変化 (社会的行動障害)であり、認知障害としては①-ⅰ記憶障害、①-ⅱ注意障害、①-ⅲ遂行機能障害があり、①-iv社会的行動障害、②人格変化としては、情緒障害が特徴とされます。

 事故後、一見普通に見えても、交通事故の前と比べて、記憶力や集中力が低下したり、感情のコントロールができなったりして、他人と協調できなくなっている場合、高次脳機能障害の発症を疑うべきです。

 頭部外傷→意識障害→脳室拡大→脳萎縮の過程を経て→その快復後に①認知障害や②人格変性が生じた状態を外傷性の高次脳機能障害といいます。

 実際には、易怒性、知的障害、見当識障害、運動麻痺、失語症、コミュニケーション障害、病識欠落など様々な症状を発症するのも特徴です。



イ 症状の代表的な内容

①認知障害

物の保管場所を忘れてしまう、新しく経験したことを覚えていることができないなど

ⅰ 記憶障害: 物の保管場所を忘れてしまったり、新しく経験したことを覚えていられなくなる。
ⅱ 注意障害: ぼーっとしてしまい、作業にミスが多くなる。二つのことを同時にやろうとすると混乱する。集中力がなく飽きっぽくなる
ⅲ 遂行機能障害: 計画的な行動が出来なくなる。複数の行動ができない。
ⅳ 病識欠落: 自分の障害についてきっちり認識できない。障害がないかのような振る舞いをする。

②社会的行動障害

人格が変化してしまうなど

我慢が利かなくなる。無制限に食べたりお金を使ったりする。
すぐ笑ったり怒ったりする、感情を突然爆発させるなど感情のコントロールが利かなくなるなどの人格変化。
職場や社会のマナーやルールを守れない。
行動を抑制できない、危険を予測察知して回避的行動をすることができない。

(3)高次脳機能障害に関する理解の注意点

 上述の通り、高次脳機能障害とは、脳の高次脳機能領域に生じた障害を表す用語であり、医学的には、症状の内容や原因が限定されるわけではありません。すなわち、医学的な意味での高次脳機能障害には、頭部外傷による脳の器質的損傷を原因とした精神症状のみならず、脳血管障害などによる障害、さらには精神疾患による非器質的な障害も含まれます。
 しかし、交通事故による賠償・福祉の世界で(自賠責・行政・労災において)用いられる「高次脳機能障害」という用語は、脳の器質的損傷に基づくもののみを対象としており、その判断基準は画一化されていません。
 交通事故によって脳損傷を受けた人が、外見上は回復したように見えるのに、日常生活・社会生活の適応能力が低下または喪失し、障害の程度によっては社会復帰が難しくなってしまう後遺障害のことを「脳外傷による高次脳機能障害」といいます。



2 脳の器質的損傷に基づく高次脳機能障害か否かの判断基準について

 実は、医学以外の分野における脳の器質的損傷による高次脳機能障害の判断基準は、統一化されていませんが、主要な判断基準は下記の通りです。



(1)損保料率機構自賠責損害調査事務所による判断基準
ア 自賠責-高次脳機能障害専門部会での審査・認定システム
~まず、審査する必要性のある事案を選別するための基準~

 以下の5条件の1つ以上に該当すれば、自賠責保険審査会の高次脳機能障害専門部会で審査・認定を受けるシステムとなっています。

初診時に頭部外傷の診断があったこと
②頭部外傷後に重い意識障害が6時間以上あったか、軽い意識障害が1週間以上
継続
していたこと
a半昏睡ないし昏睡で、開眼・応答しない状態(JCSで3桁、GCS8点以下)が少
  なくとも6時間以上続くこと
b軽度意識障害(JCS1ないし2桁、GCS13ないし14点が少なくとも1週間以上
  続くこと)
③診断書に、高次脳機能障害、脳挫傷、びまん性軸索損傷等の記載があること
④診断書に、高次脳機能障害を示す典型的な症状の記載がある、知能検査、記憶
  検査等の神経心理学的検査で異常が明らかとなっていること
頭部画像上、初診時の脳外傷が明らかで、少なくとも3か月以内に脳室拡大、
脳萎縮が確認されたこと

※上記条件は、判定基準ではなく、審査する必要がある事案を選別するための基準です。


 ちなみに、平成23年3月4日付で、自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会において発表された「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書)において、診療医が高次脳機能障害または脳の器質的損傷の診断を行っていない場合でも、「その他、脳外傷による高次脳機能障害が疑われる症例」を審査対象とするという改訂案が出されるなど、認定漏れがないようにしようという動きがあります。しかし、現実に救済される事例が増えるかどうかは疑問です。

イ 高次脳機能障害に認定されうる後遺障害等級

 「神経系統の機能又は精神に障害を残すもの」として、1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号に分類されます。


ウ 経験的に感じる、実質的なはじめの振り分け-画像所見の有無、意識障害の有無

経験的に、自賠責保険の審査においては、脳の障害について
①MRI、CT画像所見の有無
②事故直後の意識障害の有無
によって、大きく2分類に分けられてしまっていると感じます。 建前上は、科学的検証が不十分な検査方法に依拠して判断は出来ないというものなのでしょう。 脳の障害=2分類
→器質性の障害(画像所見有り、或いは事故直後の意識障害有り)
→非器質性の障害(画像所見はない、意識障害もなし。異常は生じている)

エ 等級認定表~抽象的な分類基準~よくわからないハズ~   
ⅰ 自賠法施行令上の認定基準

 高次脳機能障害として後遺障害等級認定がなされる場合、抽象的な自賠法施行令の分類基準は以下の通りです。

①介護を要する神経系統の機能または精神の障害



②神経系統の機能または精神の障害


ⅱ 認定基準の説明

 抽象的な自賠法施行令上の認定基準は下記の通りに説明がなされています。ただ、以下の基準を読んでも一般の人には具体的な判断は難しいと思います。




オ 解説、認定基準をより具体的に検討していくと・・・
ⅰ 具体的な認定基準

 高次脳機能障害の等級認定は、より具体的には、

①意思疎通能力
②問題解決能力
③作業負荷に対する持続力・持久力
④社会行動能力

の各能力を「(6段階評価で)どの程度喪失したか」「4能力のうちいくつ喪失したか」によって判断されています。

ⅱ 認定されうる等級の分類

 4つの能力の喪失の程度(6段階評価)によって、認定されうる等級は下記の通りに分類されます。

ⅲ 補足(4つの能力について)

 上記「オ ⅰ 具体的な認定基準」をより具体的に検討していくと、①~④の能力は下記の通りとなります。


①意思疎通能力:コミュニケーション能力

=EX 相手の会話を聞き取り、意味を理解し適切に会話を成り立たせる力
:職場において他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等について判定する。主に記銘・記憶力、認知力又は言語力の側面から判断。


②問題解決能力:未知の問題を解決する能力

=EX 「財布を落としてしまった時に、警察に届け出る」という判断をして問題を解決する力
:作業課題に対する指示や要求水準を正確に理解し適切な判断を行い、円滑に業務を遂行できるかどうかについて判定する。主に理解力、判断力又は集中力(注意の選択等)について判断を行う


③作業負荷に対する持続力・持久力:作業を継続して耐える能力

:一般的な就労時間に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定する。精神面における意欲、気分又は注意の集中の持続力・持久力について判断を行う。その際、意欲又は気分の低下等による疲労感や倦怠感を含めて判断する。


④社会行動能力:協調性等

:職場において他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定する。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに怒る等の感情や欲求のコントロール低下による場違いな行動等)の頻度についての判断を行う。


ⅳ 補足(能力喪失の程度の6分類について

『喪失の程度の6分類』は下記の通りです。
A:多少の困難はあるが概ね自力で出来る(能力のわずかな喪失)
B:困難はあるが概ね自力で出来る(能力を多少程度喪失)
C:困難があり多少の援助が必要(能力を相当程度喪失)
D:困難はあるが援助があれば出来る(能力を半分程度喪失)
E:困難が著しく大きい(能力を大部分喪失)
F:できない(能力を全部喪失)


カ どうすれば良いのか-認定のポイント
ⅰ 労災保険における高次脳機能障害整理表

 上記表の4つの能力の喪失の程度の評価方法(6段階)については、一義的に明確とは言い難いのですが、自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会は、平成19年2月2日に「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について(報告書)」を発表しています。
 同報告書において、成人の被害者に対しては、労災保険で使用している高次脳機能障害整理票に当てはめて検証し、最終結論とすることが妥当と記されており、基本的には労災保険の認定基準に準拠しているとみてよいと解釈できます。
 従って、労災で用いられている下記高次脳機能障害整理表に、各4つの能力ごとに(表中の横軸)、能力喪失の程度をA~Fまでの6段階中どの段階と評価すべきか(表中の縦軸)あてはめて認定される等級が判断されると考えられます。被害者としては、①認定を求める等級について証拠が揃っているか否か検証したり、②事前に何級が付くか予想をたてたり、③後遺障害等級認定異議申立の準備をするべきか否かを判断する一資料とできるのです。



(高次脳機能障害整理表)



ⅱ どの様にあてはめるのか-だいたいの考え方

 医学上の高次脳機能障害の程度についての評価にあたっては、評価手順や結果の解釈、評価点などが標準化された評価方法が用いられています。おおまかな理解としては、

①画像所見・意識喪失の程度、時間の長さより脳のどの領域・範囲に障害が残り、どの様な機能が失われたのか推測する
②日常生活状況報告書の記載内容などから問題行動を捉える
③各種神経心理学的検査結果により、障害の残った機能の詳細や重傷度を検出するというだいたいの考え方でよろしいかと思います。

キ あてはめ~

ⅰ 12級や14級という認定で終わるパターン

 既に述べた通り、証拠のうえでは、CT、MRI画像によって「脳室拡大」「脳内出血」「脳萎縮」などの画像所見が得られておらず、事故直後の意識障害も認められないのであれば、非器質性の精神障害等と扱われてしまって後遺障害12級、14級という認定で終わってしまいます。

  画像所見があっても、医師作成の所見がイマイチだったりして、14級、12級という認定に終わった様な場合、医学的所見を補充することで異議申立が通る余地がないか検討する価値はあると思います。他方、画像所見がない場合に自賠責で認定された等級以上の損害が発生しているとご主張される場合、専門性の高い弁護士と相談のうえ、証拠を補充したうえで、訴訟の提起によって解決することを考えた方が良いと思います。詳しくは、訴訟による解決の章をご参照下さい。

(画像所見の補充)
 MRI,CT撮影では何も異常が発見されなかったとしても、最新の画像診断技術により撮影された画像所見があれば、裁判所の判断においては損保料率機構の判断よりはまだ採用される可能性が全くないとは言えないと考えることができます。
 自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会においても、平成23年3月4日付の「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書)において、MRIの撮像法である拡散強調画像DWI(diffusion-weighted imaging)、SWI(Susceptibility-weighted Imaging=磁化率強調画像)が有用になると考えられるとの指摘があります。

 他方、同報告書では、拡散テンソル画像、MRスペクトロスコピー、PET、fMRIについては、「まだ使えない」との意見が述べられておりますが、裁判所の判断を拘束するものでもないと考えられます(実際は厳しい印象を持ちます・・・)。



(意識障害についての証拠記録の補充)
 例えば、事故直後の意識障害の有無を判断する証拠資料として、弁護士法23条照会等を利用して事故現場に到着した救急隊の搬送記録を取り寄せてみたり、搬送先病院へ看護記録・診療録全てを取り寄せてみたりして事故直後に意識障害を発症していないか事故直後に作成された資料を検討する方法もあります。



ⅱ 3級~9級の認定の分かれ目

 高次脳機能障害として6段階で分類される4つの能力喪失の程度をどの様に評価するかによって3級~9級が分かれます。

① 3級3号

(1)4能力のうちいずれか1つ以上の能力の全部が失われているもの
(2)4能力のうちいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているもの
(出来ること)自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定され
       ていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。
(出来ないこと)記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、
        円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が
        全くできないか、困難なもの。



② 5級2号

(1)4能力のうちいずれか1つ以上の能力の大部分が失われているもの
(2)4能力のうちいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われているもの

具体例:判断要素①~⑤などに治療経過、症状推移等を検討したうえ、(1)問題解決能力の大部分を喪失したか、(2)4能力いずれも半分程度を喪失したとして5級2号の認定をしたと思われた。

ⅰ画像所見:MRI画像所見、脳室の軽度の拡大、脳萎縮有り

ⅱ頭部外傷後の意識障害についての所見:
初診時(急性期)の意識障害の程度:
JCS=3ケタ(刺激しても覚醒しない)
GCS=全く開眼なし、言語反応なし、意識回復に約3か月を要した

ⅲ神経心理学的検査結果(回復期・慢性期)
 WAIS-Ⅲ=言語性IQと動作性IQとの差は15点以上の差、
       F(Full)IQは出現頻度6.7%の数字
 WAIS-R=記憶検査、言語性記憶、視覚性記憶、一般的記憶、遅延再生 
       いずれも平均に比して極めて低い
 WCST結果=前頭葉機能検査結果、WAIS-Ⅲと合わせると計画性や思考の柔軟性
        といった遂行機能が障害されていると推測。
   
ⅳ神経系統の障害に関する医学的意見
運動機能障害有り、身の周り動作自立

ⅴ日常生活状況報告書の記載
ADL(日常生活動作、食事、排泄、移動、入浴等の基本的な行動)は自立=つまり、身体的な介護は不要



③ 7級4号

(1)4能力のうちいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの
(2)4能力のうちいずれか2つ以上の能力の相当程度が失われているもの

ⅰ画像所見:微妙、脳挫傷

ⅱ頭部外傷後の意識障害についての所見:
初診時(急性期)の意識障害の程度
JCS=3ケタ(刺激しても覚醒しない)
GCS=全く開眼なし、言語反応なし、意識回復まで6時間を要した
※意識障害の時間がポイントとなる6時間を超えていたのも高次脳機能障害の発症を認める要素となったと思われる。
※意識障害は深かったが、意識清明になるまでの時間は比較的早かった。

ⅲ神経心理学的検査結果(回復期・慢性期)
  WAIS-Ⅲ=F(Full)IQはかなり低かったが信用性に疑問符。
  あまり神経心理学的検査は実施されていなかった様子。

ⅳ神経系統の障害に関する医学的意見
  運動機能障害有り、身の周り動作自立

ⅴ日常生活状況報告書の記載
  日常生活に必要な動作の多くが困難
  ※ 地方都市で、高次脳機能障害支援の拠点病院ではなく、検査結果についての
   資料は不十分であったが、画像所見があったこと、意識障害の程度が重く、
   意識喪失の時間が6時間を超えていたこと等が証拠から認定できたため7級が
   認定されたと思われました。

④ 9級10号

 4能力のいずれか1つ異常の能力の相当程度が失われていて、困難はあるが多少の援助があれば、意思疎通、問題解決、持続力・持久力、社会行動能力が保管できる程度。就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの。

具体例:
ⅰ画像所見 有り
ⅱ数年間引きこもり生活
ⅲ介護を要する神経系統又は精神の障害の程度~1級1号、2級1号~


 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の周り動作に全面的介護を要するもの
  労災の基準を参考にすると、
(1):食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
(2):高度の痴呆や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの


 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。
 身体的動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
 労災の基準を参考にすると、
(1):食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
(2):痴ほう、情意の障害、幻覚、妄想があるため、随時監視を要するもの
(3):自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの



(2)その他の判断基準
ア 行政(厚生労働省)で用いられている診断基準

 厚生労働省では、平成13年度より、高次脳機能障害者への連続したケアを実現するために、地方自治体と国立身体障害者リハビリテーションセンターが共同でケアに取り組む高次脳機能障害モデル事業を開始しています。私も見学させて頂いた事があるのですが、各地域にある拠点施設において、高次脳機能障害に関連する機能回復訓練や医療機関、障害者施設と一体となって社会復帰支援や生活支援等が実施されています。
 この様な行政的な医療や福祉サービスを利用するにあたって用いられている下記診断基準は、労災や自賠責保険の基準とは異なる基準となっています。

 交通事故の集客を意図した弁護士HPで高次脳機能障害の診断基準として下記基準が紹介されているのを見かけた事があるのですが、福祉を目的とした下記基準と損害賠償の可否判断につながりうる自賠責の判断基準や裁判所の判断の枠組みとは必ずしも一致しているわけではありません。
 拠点施設を利用するための診断基準からは高次脳機能障害と認定してもらえたとしても、必ずしも、自賠責や訴訟においても高次脳機能障害の発症を認定してもらえるとは限らないのです(特にⅣ-3)。


 高次脳機能障害者支援の拠点病院、リハビリ施設等に通所されている方の場合、作業療法士、言語聴覚士による検査が実施され、評価報告書が作成されていることがあると思われます。
 高次脳機能障害者支援の拠点施設で作成された資料は、後遺障害等級認定異議申立や訴訟による解決に際して「使える」と思います。


イ ちなみに、行政(労災補償)で用いられている判断基準

 器質的な脳損傷に起因する高次脳機能障害であることが必須条件とされています。労災補償という性質上、頭部外傷による器質的な脳損傷に限定されず、脳血管障害による器質的な脳損傷も含まれるとされます。労災補償における高次脳機能障害発症の有無についての判断基準は、以下の通りです。


■ 雑感-高次脳機能障害支援の拠点施設について

 診察を受けていて、病院から、高次脳の「こ」の字も出てこない等という感覚を抱かれた場合、高次脳機能障害につき経験を有する医療機関、各地域にある拠点施設の利用に変更することを考えた方が良いと思われます。
 職業柄、他の方より多く医師と面談してきましたが、高次脳機能障害者支援の拠点施設に在籍されている医師の先生方は、学識・経験ともに豊富であるばかりか、志・人柄・生き方としても立派で尊敬できる方が多い様にお見受けしています。拠点施設職員の方の根気強い支援には心から尊敬の念を抱きます。

 ところで、法曹を目指しつつも、「数が増えすぎて飯の種がない。」「なっても苦労ばっかりだ。」と言った類のネガティブな報道に気持ちをくじかれている受験生の皆さん。高次脳機能障害者支援機関の先生方、職員の皆さんなど立派な仕事をされている方々のお人柄に触れることが出来た瞬間は、「この仕事に就いて良かった。」「自分の人生が心理的に豊かになってきた」って思えた瞬間ですよ。

■ 思うこと-画像所見なし、初診時意識障害なし、されど高次脳機能障害特有の症状を発症している方々について・・・

 ※事実として明らかに高次脳機能障害特有の症状を発症しているのに、画像所見がなく、事故直後の意識障害もないために、自賠責等級認定では、高次脳機能障害を発症したとは認定出来ないと評価された結果、適切な賠償を受けられず、苦難の道程を歩まれている被害者、ご家族様はこの日本に沢山いると感じています。
 医学上は、CT、MRI画像所見や事故直後の意識障害がなくても脳内に細かな損傷が生じていることはあり得るとの意見もあるのですが、医師でさえも専門知識を有していないと適切に対応してくれるとは限らないのが現実だと思います。
 賠償の段階に至っても、行政書士さんの資格では訴訟代理人として訴訟活動をできませんし、弁護士であっても、「真面目にやるとやたらと手間がかかる割に目覚ましい結果が期待できず、報酬がそれほど伸びず、顧客とのトラブルが発生する可能性がある」ので必ずしも受任してくれるわけではないと思います。
 使命感や功名心で受任してくれたとしても、後遺障害○級相当だから裁判所基準でこのぐらいの金額で和解するのが妥当です、で終わることが多いでしょうし、現状、それ以外に妥当な解決方法は考えにくいのも事実です。 裁判所でも自賠責の認定と異なる等級を認定した事例が少ないのが現状ですが、しかし、救済事例を作った判決がないわけではありません。
 私は、この「画像なし、意識障害なし、しかし症状は発症」で悩んでいる方々こそ、司法の世界で助けてあげられる様な道筋を作らなければならないのではないかと強く感じています。

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