弁護士による マンガ交通事故相談

消極損害・逸失利益 | 交通事故の無料相談なら【マンガ交通事故相談】

交通事故のご相談専門ダイヤル 03-5774-4558

ホーム > 財産,消極,休損

消極損害

02-2 消極損害:ざっくり分けると、以下の通りに分類できます。

2 消極損害

(1)休業損害

  ア 給与所得者(会社員・パート・アルバイト等)の休業損害
  イ 事業主の休業損害、営業損害
  ウ 主婦業、家事従事者の休業損害

2 消極損害

(1) 休業損害

休業損害

 交通事故によって負った傷害のため、会社を休むなどして給料がもらえなくなるなど、休業を余儀なくされた場合、休業によって失った収入相当額については休業損害として賠償の対象とされます。

 休業損害は、事故前の被害者の収入を計算の基礎と扱われ、症状固定日までに休業したことによる現実の収入減が損害として認められます。

ア 給与所得者(会社員・パート・アルバイト等)の休業損害

 会社員等の給与所得者の休業損害を算定するにあたっては、事故前3か月間の給与明細に記載された給与所得額から基礎となる収入を認定していくのが通常です。

ⅰ 例:基礎収入の計算方法

例えば、平成25年6月11日に発生した事故の被害者が、
①平成25年5月に月収27万円
②平成25年4月に月収26万円
③平成25年3月に月収25万5000円
の給与所得を得ていた場合、事故前3か月間の平均月収は26万1667円です。

ⅱ 例:休業日数85日の場合、休業損害は?


被害者が、事故後85日間休業していた場合、
26万1667円÷30日(ひと月を30日として計算)×85日=74万1390円(四捨五入切り上げ)が休業損害となります。

注意点

・会社員で、現実の収入減が発生していなくても、有給休暇を使用した場合は、
 使用分が損害として認められます。

・休業中、昇給・昇格があった後は昇給後の収入を基礎とします。

・休業に伴う賞与の減額・不支給、昇給・昇格の遅延による減収分も損害として
 認められる場合があります。

EX)  休業日数 = 60日(うち有給使用 = 10日)

基礎となる収入= 事故前3か月の合計収入=81万円→(÷90日(3か月))日額9000円

休業期間中の給与の支給 = 有給使用期間中のみの支給 

「休業損害」 = 81万円÷90日×50日(休業日数60日‐有給使用日数10日)+9万円(日額9000円×有給10日分) =「54万円」

後遺障害14級事案では、症状固定日前に過度に無理をして働いてしまうと、休業日数について「稼働を再開する(無理をして働いていた)前の日まで」、とされてしまい、かえって補償が不十分になることが散見されます。

無理をして働いたのだけれど、その後、やはり身体が痛み休んでしまった場合でも、再稼働日以後の休業について休業日数として含めてもらえないという運用が裁判所でもなされているので、(勤務先の状況が許してくれるのであれば)「身体の回復が中途半端な状態では仕事を再開しないで治るまで休み続けていた方が得策」ということも言えなくもないのが現実です。

注意点

イ 事業所得者・自営業者・法人の代表者の休業損害、営業損害

ⅰ 事業所得者・自営業者が損害保険会社と紛争になりがちな背景

自営業者・個人事業主の休業損害については

①休むに休めず無理に無理を重ねて業務を続けた結果、一見すると「休業」
 や「損害」が発生していないようにみえてしまう場合

②代替人員を補充することで業務・売上げが維持されている場合

③売上げの計上時期と入金時期がずれていて、事故後も順調に入金が続いて
 いるため、休業損害の発生を理解してもらえない場合

④会社役員の所得のうちに労働の対価と評価してよい部分と、株主としての
 配当利益と評価した方が妥当な部分にわけられる場合 など

被害者

被害者と保険会社との間で主張が食い違うことが多くみられるため、紛争になりがちです。

ⅱ どう対応、立証していくか
       ~得てして裁判をすることが多いです~


タイムカード

①プレイングマネージャー的な事業主の場合、得てして仕事に代替性がなく(代えが利かない)、事故が売上の減少、損害発生に直結したことを説明し、タイムカード等によって休業の事実がはっきりしていれば自営業者の休業について一応の立証ができます。

 (ご依頼された案件のうち、はっきりしていない場合が大部分であり、裁判を起こすことが多いです)。


②代替人員の補充、仕事を外注に出したことで売上げ減少を回避した場合、代替人員の給与明細や外注費が発生したことの領収書類を証拠として提出して、代替費用を「休業損害」として認めてもらうことは可能です。


被害者

③裁判では、決算関係書類のうち、事故前後の確定申告資料(確定申告書B)を提出したり、売上台帳まで遡って売上げ構造を説明したりして純利益の減少理由が事故に起因することを主張・立証することがあります。


被害者


④厳密には、会社役員の所得のうちに労働の対価と評価してよい部分と、株主としての配当利益と評価した方が妥当な部分にはっきりとわけられる方がむしろ少ないです。

 裁判では事業構造を説明したうえ、裁判所に和解を勧告してもらうか、何%を労働の対価と評価すべきか判断してもらうことがあります。

※よくあるご相談は、事業用に使っていた通帳を提出し、「事故後は入金額が減ったから休業損害が発生している」というご主張をしたいというものです。しかし、裁判所は、通帳の印字のみでは、「事故前後で入金額に差が認められるという事実」のみを認めます。通帳の印字のみからは、「休業したこと」「休業によって損害が発生したこと」までは認定してくれないのです。

注意点

ⅲ どんな解決で終わることが多いのか


① (例)裁判官、和解の席にて、以下の通り発言

注意点 「裁判所の和解案は、休業損害の基礎収入を賃金センサス該当賃金の7割として算定してあります。原告提出の証拠からすると、確かに事故前3年間と比較するとはっきりとした売上げ減少があったことはうかがえます。」

 「しかし、売上げの減少がどの程度、原告本人の利益、所得減少に結びついたかは証拠からははっきりと認定することが出来ません。よって、基礎収入については、賃金センサスを参考としつつも、賃金センサス平均賃金の満額を基礎収入として認めることは出来ないと判断しました。」

② 裁判所の考え方について解説

 裁判所の考え方は、「現実の収入減少額」を休業損害の算定にあたって基礎収入とするというものが大原則です。

 しかし、源泉徴収票や確定申告書の記載などの証拠と、主張している金額がぴたりとあえば話は簡単なのですが、「証拠と主張がぴたりとあわない」けれど、「それなりの立証はなされている」場合、全くゼロと算定すると、納得のいかない当事者は控訴するなど紛争をなかなか解決できなくなってしまいます。

 裁判所では、紛争解決を意図しつつ、紛争を収めるに足りるそれなりの根拠として、公的なデータである厚生労働省が毎年出している賃金についての統計データである賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計の男女別平均賃金を参考にして和解案を検討することが多いです。


ウ 主婦業(家事従事者)

#

① 損害保険会社は、こんなことを言ってくることがあるようです。

 損保:「休業損害は、休業したことによる現実の収入減が損害として認められるものですから、源泉徴収票や確定申告書に収入の記載がない主婦には休業損害は認められないのです。」

#

 しかし、主婦も家事という「労働」と評価して良い業務に従事していますので、怪我によって家事ができなかった期間に対応して、休業損害が認められるというのが裁判所のスタンダードな考え方です。

② 主婦の休業損害額の算定方法

 本来、休業損害の算定には、基礎収入額を確定する必要がありますが、主婦業の場合、基準とすべき収入がないか、会社員を兼業していたとしても主婦業分をどう算定するか資料はないのが通常です。

 裁判所の考え方としては、主婦業の基礎収入は、厚生労働省が毎年調査して発表する賃金構造基本統計調査結果である賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎収入とします(昭50.7.8の最高裁判決以来の運用)。

 仕事をしながら主婦業も行っているいわゆる兼業主婦については、仕事によって得ている収入と上記の平均賃金とを比較して、高い方の金額を基礎収入として算出します。

例1)48歳女性 専業主婦 休業期間(家事に従事できなかった期間)

30日平均賃金

355万9000円(女性・全年齢・全学歴計)

355万9000円÷365日×30日=29万2520円


例2)32歳女性 兼業主婦(パートで月収15万円)

休業期間(パートを休み、家事にも従事できなかった期間)

20日平均賃金

355万9000円(女性・全年齢・全学歴計)

パート代 15万円×12ヶ月=180万円

平均賃金とパート代の年収額を比べると、平均賃金の方が金額が高いので、

「平均賃金」を採用)

355万9000円÷365日×20日=19万5013円

 ※平均賃金は、全て平成23年の賃金センサスに基づく金額です。

③ 休業期間

 主婦は後遺障害を負ったとしても、多少なりとも家事労働を行ったりすることもあり、実際の休業期間を把握するのが非常に難しく、裁判では、休業期間を何日と評価するのが妥当かについて争点となることがあります。裁判の感覚としては、ケガの状況、ケガの部位、後遺障害の程度をどの程度立証できるか次第で左右されると思っています。

 頸椎捻挫の神経症状(14級事案)だと、事故日から症状固定日までの日数のうち一定割合(6割程度など)を休業期間として休業損害を算定するのがよくみられます。

④ 家政婦を利用した場合

 家事や子供の養育に家政婦などの代替労働力を利用した場合、家事労働に自分が従事することができなかったためなので、そのために要した費用は全額休業損害として認められることになります。

 ただ、傷害の程度や家政婦などを利用していた期間によっては、一部否定されることもあり得ます(傷害の程度の割に期間があまりにも長いなど)。

 実感としては、代替労働費用についての裁判所の判断は、保険会社よりは渋くはないものの、保守的なものだなという思いを抱いています。

家政婦

トップページへ
ご質問・ご相談もお答えいたします。お問い合わせフォーム

アクセス

コンタクト

スタッフブログへ