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Ⅳ 後遺障害等級認定-細目-①神経症状(むち打ち等)-14級9号

この章では、後遺障害の等級について各部位、症状ごとに認定基準のポイントを説明致します。


1 むち打ち症

(1)典型的なパターン~総説~

(2)14級9号の認定を受けるには~どうすれば良いのか~

(3)12級13号の認定を受けるには~どうすれば良いのか~

1、むち打ち症

(1)典型的なパターン~総説~

ア よくある傷病名

 交通事故(多くは追突)に遭って、首や腰を痛めてしまうと、「頸椎捻挫、腰椎捻挫」(「打撲」に止まると後遺障害の認定は厳しいかなと思います)という傷病名を付されたり、あるいは、「①頚部挫傷、②外傷性頚部症候群、③バレリュー症候群、④頚椎椎間板ヘルニア、⑤頚椎症、⑥脳脊髄液減少症」といった傷病名を付されたりしているのが典型的な事例です。

 症状が重いと感じているのに、後遺障害の等級を「非該当」とされたことに衝撃を受け、ご相談にお見えになるというのもよくある相談例です。

イ 典型的な症状と悩ましい多岐にわたる症状

 むち打ち症の典型的な症状としては、事故から半年以上経過したにも関わらず、頸椎捻挫の場合、首から肩にかけての痺れ、頭痛、手の痺れ、手の感覚がおかしい、握力低下といった症状のうちいずれかの症状に悩まされ続けるというものです。

 腰椎を捻挫している場合、痺れ等の症状は、手先ではなくて、下半身、特に足先に出るというパターンが典型的です。

 「外傷性頸部症候群」「脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)などの傷病が付されている方は、めまい、耳鳴り、吐き気、若干の記憶力の低下、起立性の頭痛など多岐にわたる様々な症状に苦しまれる一方、被害の実態と保険会社の実務対応とのギャップが激しく、孤立感を深めていくため、弁護士事務所を訪れる頃には、「絶望のどん底」という印象を受けることが多くあります。

 また、むち打ち症に悩まされる方は、「神経系統の機能の障害」として後遺障害等級が認定されるか否かによって、大きく賠償額が変わります。詳しくはマンガⅠマンガⅡをご覧ください。

ウ 後遺障害等級-非該当か14級か12級か-

 同じく「頸椎捻挫」「腰椎捻挫」という診断名が付されていても、後遺障害等級認定の世界では、「非該当」「14級9号」「12級13号」と結論が分かれてしまうことはよくあることです。
 後遺障害等級として、「非該当」ならば、保険会社は、賠償額としてせいぜい50万円程度の示談の提案をしてくるでしょうが、14級がつけば、裁判所基準ならば総額で300万~500万といった金額になることは珍しくなく、12級がつけば後遺症慰謝料だけでも290万円、総額はかなりの金額になってきます。随分と大きな違いです。

エ どこが分かれ目か

 自賠法施行令の別表2をみると、12級13号と14級9号の違いとしては「頑固な」と付くか付かないかぐらいの差しかなく、どう違うのかがわからないように記載されています。


 上記表中「認定基準の説明」の項に記載してある通り、後遺障害12級13号と14級9号の分水嶺は、症状固定後にも残存する痛みや痺れ(神経系統の障害)が


(後遺障害12級)

<医学的に証明がなされている>か



(後遺障害14級)

<医学的に証明はされていないが説明はつく>のかです。



これでは、まだ具体的にどうなれば等級が付くのか理解できないハズです。

(2)14級9号の認定を受けるには~どうすれば良いのか~

ア ~これまでの経験の集積から認識しているポイント~

 後遺障害等級「非該当」との認定結果に衝撃を受けて「14級か12級はつかないのだろうか」とご相談に来られる方は、以下のポイントを外している方が多いです。これまでの経験の集積から認識している最低限のポイントは以下の通りです。

① 事故発生状況・受傷状況として後遺症の症状とが整合性を持っていること。


 私は、物損の資料や実況見分調書などを添付したうえ、車両の重量や速度がわかるのであれば等級認定の申立書に意見書を付けて注意を喚起します。
 「本件事故は、車両対自転車の事故であり、駐車場を出ようとした車両がノーブレーキで自転車に衝突したという事故態様を考えれば申立人の身体に加わった衝撃は相当強度のものであったと評価すべきです。」等と意見を述べるのです。

② 事故から5~6か月程度は医療機関(整骨院、接骨院ではなく)への通院を
  大きな間断なく継続していること。通院実日数は多い方が認定されやすい・・・

 医療機関への通院が5~6か月続いていないと、調査事務所は、「症状が軽い、治癒している」と判断しがちなのだろうな、と感じています。また、医療機関から5か月以内に「もう治った」と判断されてしまい、診断書等に「治ゆ」と記載されてしまうと、その記載が邪魔となって後遺障害の等級認定が難しくなってきます。1か月以上、通院が途絶えている時期がある場合、通院期間の断絶が治ゆしたと推定される要素になるため、通院の空白期間に「治ゆ」したわけではない旨を説明する必要があると考えています。

 後遺障害等級認定をご専門とされている行政書士の先生方のサイトや書籍には「通院を6か月以上は続けて下さい」というご案内がよくありますが、通院6か月未満の方でも14級が付いたことがあるにはあるので(極めて少ないですが)、通院が続いていることは絶対的な条件とされているわけではなく、等級認定は諸事情を総合考慮して判断しているようにお見受けしています。

 しかし、「非該当」のお知らせと共に相談に来られる方は、得てして3か月ぐらいで「病院よりも整骨院の方が症状は楽になるから」という理由で接骨院通いを初め、病院への通院を止めてしまっているという方が多いなとも思っています。

 柔道整復師の施術証明書にも、通院の記録は記載されるのですが、等級認定の世界では整骨院・接骨院への通院期間は病院等の医療機関への通院期間よりは評価されていないのだろうなと感じています。

 これは、経験に基づく感覚なのですが、医療機関への通院実日数は多い方が等級認定されやすいとも感じています。

③ 治療経過(診療報酬明細書から確認)が後遺症と矛盾せず、治療内容が事故直後から症状固定日まで首尾一貫していること

 例えば、記録のうえでは、事故直後には頸部には痛み等を訴えていなかったのに、2か月目以降から頸部の痛みの症状を訴え始めていると読めるならば、頸部の痛みと事故との因果関係を否定されてしまいがちで、補充説明をした方がよいと考えています。

 例えば、「バイクから吹き飛ばされて身体の前側全身を地面に打ち付けられたという事故態様からすれば、事故当初より頸部の痛みを訴えていたという被害者の主張は合理性が認められる。」「医療機関の記録上、事故当初は頸部について痛みを訴えていなかったかの様に読めるのは、単に、骨折をしてしまった橈骨(手首)の治療を優先していたからに過ぎず、頸部痛自体は事故直後から発生していた。頸部痛と事故との因果関係を否定するのは誤りである」等と補足説明しておくべきでしょう。

④ 後遺障害診断書上、自覚症状が画像所見、神経心理学的検査所見によって裏付けられていて、自覚症状を医学的に説明できること~後遺障害診断書の記載に注意~

イ 上記④に関して~後遺障害診断書の作成~

ⅰ~医師は後遺障害診断書の書き方に長けているとは限らない~


 保険会社から、「そろそろ症状固定の時期だから」「治療費打ち切り」「残りの治療費等の費用は後遺障害の有無によって判断されるべき」なので、「主治医の先生に後遺障害診断書を書いてもらって来て下さい。」等と言われたら・・・。

 何の予備知識なしに後遺障害診断書の記載を主治医の先生にお任せするのはギャンブル的な要素があります。

 医師は、診察、治療の専門家であって、「後遺障害等級認定」を専門としている方に該当する確率はかなり低いです(自賠責の損調で審査実務に携わっている医師の先生もいるにはいます)。


ⅱ 後遺障害診断書に何をどの様に記載してもらえば良いのか


① 「自覚症状」欄の記載と「他覚症状および検査結果」の記載が整合性を有していること


例えば、

ⅰ自覚症状

として「頸部から肩部にかけての痛み」「右手外側しびれ」と記載してあって、


ⅱ他覚症状

としては「MRI検査にてC4/5、椎間板変性」との記載があれば、C(頸椎)の4番と5番領域を走る神経は、手の外側を支配している神経につながっていますから、「自覚症状」と「他覚症状」の記載が整合していると言えるのです。自覚症状は漏らさず記載してもらうのみならず、痛みや痺れの発生している部位を「右手」「左手の掌」などと大雑把に記載してもらうよりは、「右手外側の肘から手首にかけて」「左手の掌のうち、親指から手首中心付近」というくらいには、異常の出ている部位を特定して医師に伝えましょう。



② 自覚症状を裏付ける検査結果が存在すること


例えばⅰ自覚症状が「腰からつま先までだるさ」「足先に痺れ」であり、

ⅱ神経学的検査として、
L4/L5領域:「ラセーグテスト(座骨神経テスト):」
ヘルニアの有無:「SLRテスト(下肢伸展挙上テスト、座骨神経のテスト、ヘルニアだと足があがらない):」
L3/4領域:「FNSテスト(大腿神経伸展テスト)」

と言った検査によって、陽性(+)といった結果が出ていれば、自覚症状は、検査によって裏付けられていると評価されるのです。


他方、頸椎の事案であれば、


ⅰ自覚症状 本人が手の平の親指付近を中心に痺れが出ていると訴えている場合、

ⅱ他覚症状 C5/6椎間板変性(軽度のヘルニア)という(画像所見)の有無や、(神経学的所見)三角筋の徒手筋力検査結果やスパーリングテスト(頭を傾けて下に押しつけてC5等の神経痕の出口を狭めて痺れ等を訴えるか否かのテスト)

などの神経学的所見と訴えが合致していれば、等級認定に至る可能性があります。ポイントは、画像所見上の何らかの変性所見か或いは神経学的テストの陽性結果と本人の訴えが対応しているか否かなのです。


ⅲ 後遺障害診断書の記載についてまとめ


①自覚症状をきちんと書いてもらうこと

②MRI検査結果と自覚症状が矛盾していないこと(嘘をついてもどこか不整合な結果となってくるものです)

③画像所見がなくても、必要な検査を実施してもらい、検査結果を記載してもらうこと(神経学検査で陽性反応)

ウ まとめ~14級9号の認定のために

①医療機関への通院を6か月以上、間断なく続けた方が好ましい

②後遺障害診断書の記載に注意

③事故態様と受傷状況、治療経過の一貫性を確認する。

 ※物損の資料や刑事記録を取り寄せ、場合によっては診療報酬明細書のみならず、診療録全てを 取り寄せたりして検証することもあります。


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