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訴訟による解決

1 訴訟による解決~弁護士の花形~

参考事例:本人は保険会社から77万3723円の支払いによる示談との提案を受けた。



 弁護士を通じて、後遺障害等級認定の申立てをしたところ、腰部捻挫後の痛みにつき後遺障害14等級の認定を受けた。裁判外で示談交渉を申し入れたものの、裁判所の基準の7掛くらいの金額で示談してくれないかとの回答を受けた。本人には示談に応じる気はなく、ジダン選手(サッカー元フランス代表)の様に頭突きでもしたいぐらいの気持ちだったが、ぐっと堪えて理性的解決を目指して訴訟を提起した。

2 訴訟による解決にも数パターンある

(1)解決例① 訴え提起後すぐに和解

訴訟を起こすだけ起こして、第1回期日(提訴からおよそ40~60日後)が始まる前に和解をまとめて訴えを取り下げるという手法による解決方法です。
現実に訴訟を起こすと、裁判所基準で計算した金額での和解に向けて、保険会社担当者が社内で決済をとりやすくなるため、和解がまとまりやすい傾向にあります。

 訴訟を起こさない段階で、保険会社が「考え方に争いはないけれど、裁判による解決ではないので、慰謝料については80%ぐらいにしてくれ・・・。」と言ってきた場合、訴訟を起こしたうえで示談交渉を試みることを勧めています。

参考事例:治療費、通院費用は同じ。+休業損害19万3276円の加算(賞与の減額証明書を出して賞与の減額分19万3276円を休業損害と認めてもらった。)、+傷害慰謝料29万9300円加算(裁判所の基準)、+逸失利益43万2950円、+後遺障害慰謝料110万円

①=202万5526円増額しての和解に至るのがおおよその目安

(2)解決例② 訴え提起のうえそれなりに争ってから和解

訴訟を起こしても第1回期日前に和解がまとまらず、保険会社も弁護士を選任し、保険会社側の言い分を主張してくる場合があります。
お互いの主張を尽くすために数回期日を重ねたところで、議論が尽き、裁判所が和解の提案をしてきます。



裁判所の和解案というならば・・・ということで納得して和解に応じる依頼者は多く、保険会社は裁判所の和解案には従うことが多いです。

 ①に調整金が加算され、215万円程度で和解に至るのがおおよその目安。

(3)解決例③ 徹底的に争って和解

 裁判所の和解案に依頼者が納得せず、納得いかない争点について証人尋問が実施されます。本人が裁判所で1時間程度証言をして説明をして頂きます。

証人尋問後にも裁判所から和解案が勧告されることが多く、和解がまとまることもありますが、和解がまとまらない場合、裁判官に判決を書いてもらうことで解決します。


 ②に調整金を上乗せして、225万円程度で和解に至ることもあり得る。

(4)解決例④ 判決による解決

裁判所に白黒判断してもらう解決方法です。
メリット :遅延損害金や損害額の10%の弁護士費用も全て含めて払って貰える点。
デメリット:時間がかかる。

 :争点となっている点について厳しい判断を下されてしまう可能性を否定
できない。


得てして、裁判所が審理の途中に提示した和解案と大差ない金額の賠償になることが 多いです。判決まで行く事例は統計上20%~30%程度との印象をもちます。

3 どんなことが争いになるのか

(1)休業損害-①(休業日数について争い)

 紛争になりやすいのが個人事業主の休業損害です。
例えば、会社組織になっているものの、実質個人商店に近い会社の代表者が交通事故にあうと、大きく売上げは減少するのが通常のことです。
保険会社の立場としては、

①「症状固定日よりも前に業務を再開しているから休業した日数を低く見積もりがち」
②「売上げの減少は必ずしもそっくりそのまま利益の減少につながらない。利益減少は景気等の他の要因もあった」
 等と主張してくることがあります。一般人の感覚からすれば、


何とか必死の思いで営業を再開したが、再開後も休んでしまったりすることを評価してくれない という不満を感じるのはごくごく自然です。保険会社の提案は被害の実態にあっていません。

(1)休業損害-②(基礎収入についての争い)

・事業主で収入についての所得証明書類と実態とが合致していない場合
・節税対策で所得を低くしていた場合
・所得が伸び盛りだった場合に伸びなくなった所得を補償して欲しい場合
・会社員兼主婦の家事労働分をどう評価するか(被害者は会社勤めも休まなければ
  ならなくなったうえ、家事もほとんどこなせなくなってしまうので補償をして
 欲しい)
・保険会社が家事労働分は数字としてはじきだせないとして、会社員としての所得
 のみを前提に休業損害や逸失利益を計算している場合

(2)過失割合:事故はどっちが悪いのか?何対何の事例か?

・事故の主な原因はどちらにあるのか事故態様がはっきりしない場合
・双方車両の速度がはっきりしない場合

(3)後遺障害の程度:~自賠責調査事務所の判断にどうしても納得がいかない~

裁判所は、自賠責損害調査事務所の判断を尊重はしますが、法律的にその判断に拘束されず、独自に判断することが出来ます。裁判所が自賠責調査事務所と異なる等級を認定することはあり得ます。別途解説します。

(4)素因減額:もともと持っていた本人の要因が損害拡大の原因?

「既往症など、もともと本人がもっている病的資質が被害拡大に寄与しているのではないか」との主張を保険会社がしてくる

→賠償額を減額しろ

(5)逸失利益-①(労働能力喪失率)

・現実に仕事に復帰できていないのだから労働能力喪失率は100%ではないのか?

(6)逸失利益-②(労働能力喪失期間)

・2年や3年で元通りに回復するとは思えない

4、争点のある事件、訴訟ではどうやって解決しているのか

(1)とにかく限りある証拠の中で立証活動を尽くす~凡事を徹底すれば非凡となる~

ⅰ休業損害
<争点①:休業損害~休業日数>
タイムカードや、出勤簿の提出、業務日報などから、全就業日数のうち、過半数以上休業したとの認定(判決)を勝ち取りました。

<争点②:休業損害~基礎収入>
原則、事故前3か月の給与明細を提出します。

給与体系にインセンティブ部分が含まれているなど、各月の給与にばらつきがある事例では、事故前1年分の給与明細と事故後症状固定日までの給与明細全てを提出し、給与のうちインセンティブ給部分がどの様に算定されるのかを説明し、事故の影響によりどの様に減収が生じたのかを立証しました。結果、主張は完全には認められなかったものの、本人の言い分をある程度考慮した和解案が勧告されました。

ⅱ 逸失利益
<争点③:逸失利益、家業手伝い,家事労働をどう評価するか>
会社員の傍ら、家事、実家家業の手伝いをしていた事例で基礎収入をどの様に算定するかが問題となった事案です。
実家が家族で事業を営んでいることを確定申告書等から立証し、相談者が、家業のうち担当していた業務を写真撮影、報告書を作成のうえ提出しました。また、会社員としての本業が大卒相当の知識を必要とする仕事であることについて陳述書を作成して説明しました。

→厚生労働省が出している統計データである賃金センサス女子学歴計大卒年齢別平均賃金で基礎収入を計算した有利な和解案が示されました。


<争点④:逸失利益、確定申告をしていなかった場合>
逸失利益の計算で基礎収入が不明、確定申告をしていなかった場合で、保険会社は、基礎収入を立証できない以上、逸失利益を0円と算定して提案してきました。そこで、業務用に用いていた通帳2册と生活費を支出していた銀行口座の取引明細を提出し、「仕入れ、売上げ」のおおよその流れについて説明をしました。裁判所から、「脱税を意図して確定申告をしていなかった以上、言い分をそっくり通すことは出来ない」とされたものの、「全く無収入ではなかったことは窺える。」として賃金センサス男女計学歴計年収の3分の1を基礎収入として和解案が勧告されました。

ⅲ 過失割合
<争点⑤:過失割合、事故状況がはっきりしなかった場合>
一審判決
証人尋問実施が予定されていた加害車両の運転手が尋問期日に欠席したことにより、事故状況について立証が甘いまま判決言い渡しを迎えてしまい、過失割合を原告70:被告30という予想外の敗訴判決を受けてしまいました。



控訴審
タイヤホイール、フロントバンパーに残された傷の形状(楕円形だった)、長さ、現場の道路状況などから、事故状況について科学的な鑑定意見書を証拠として提出しました。保険会社側からも意見書が提出されたが、当方提出の鑑定意見書が採用され、過失割合について原告20:被告80の大逆転判決を勝ち取ることができました。

ⅳ 素因減額
<争点⑥>
最高裁平成8年10月29日判決:被害者の体質的・身体的特徴が、「疾患に該当する場合」と言えなければ素因減額はされないという最高裁判決を踏まえ、頸椎の弯曲が少ないこと(ストレートネック)は素因として減額すべきではないとの主張を展開し、当方の主張を踏まえた和解案をご考慮頂きました。

(2)立証不十分だと思うときは、裁判所の和解案にのって解決

 立証が不十分であり裁判を継続しても、全く主張が認められない可能性が高い場合は、「裁判で負けて、獲得金額が0になる」というリスクがあるので、裁判所の和解案に応じることも解決方法の1つです。証拠が残っていない以上、裁判所の和解案自体が折衷的な判断だったとしても、和解に応じるのはやむを得ない判断だと思います。

(3)立証十分だと考える場合

 逆に言うと、争点で証拠がはっきりしていて立証できていると判断できる場合、ムリに和解に応じる必要はなく、裁判官に判断を示してもらう判決による解決も一考に値します。
 間違った判決が出てしまわないか、怖さがつきまといますが、ご主張と立証に自信があれば判決をとることも勧めています。

■関連するマンガはこちら→マンガⅢ~並木所長の裁判奮闘記へ~
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